【れびう】ファリスの聖女と新型コロナ禍

  • 2020.05.23 Saturday
  • 11:33

―― ロードスという名の島がある。アレクラスト大陸の南に位置する大きな島だ。

 

私達世代のファンタジー好きならなじみの深い「ロードス島戦記」

最近知った話、現在のエルフの長耳描写、エルフ耳と言ったらあの耳と決定づけたのは、実は指輪物語ではなくロードス島戦記のディードリットに端を発するということ。

2018年で30周年だったらしい。知らんかった(・Д・)

 

今回はそのロードス島戦記とそれに絡めた新型コロナ禍の話。

何の関係が?という疑問はさておき。

 


◆ロードス島戦記本編の壱

 

これからこの作品を語る都合上、パーンとディードリット、エト、ギム、スレイン、ウッドチャックの6人の冒険譚は、「本編」とする。

この本編で私が興味深いなと思ったのは、・・・読んだのって高校生時分なんだけど、TRPGリプレイから文字起こしされた物語であるが故に、この時代の大舞台である「英雄戦争」の大国同士のぶつかり合いではなく、そこに暗躍する「灰色の魔女」の探索が主軸で、後に自由騎士、ロードスの騎士と称されるパーンはまだ無名の存在であること。

 

ロードス島戦記を読んだことがない、知らない人のために注釈しておくと、彼等の冒険譚はテーブルトークロールプレイングゲームによって創出され、これに創作を加筆修正され、小説となっている。

故にそれぞれを演じた人の行動観に影響されていることが多く、またそこに絡む人々はゲームマスターが創造したNPCなわけだけど、独特の味を持ち、ちょっとお堅いヒロイックファンタジーとは一線を画している。

だから話が平均的に読みやすいし、理解しやすいと思う。

 


◆ロードス島戦記〜ファリスの聖女〜

 

 

この記事で主題に置くのは、今でいうスピンアウト作品、Fateに対するFate/Zeroのような前日譚。

本編を読んだ人なら誰でも知っているパーンとディードリットがロードスを旅した時代から遡ること約30年前の「魔神戦争」のお話だ。

上下巻刊行で下巻発売が2001年なのでこれももうかれこれ20年くらい前のお話になるのね_(┐「ε:)_

上の上下巻リンクで電子版が読めるので興味がある人は是非。

 

「魔神戦争」では6人の英雄が登場する。

◎蛮族の戦士、名誉よりも金と女を望む傭兵ベルド。のちのマーモ王。英雄戦争における両雄の一角。

◎荒野の賢者、魔法を剣と同一視する異色の魔術師、ベルドと旅を共にするウォート。のちの大賢者ウォート。

◎光の聖騎士、清冽たる至高神を奉るヴァリスの騎士ファーン。のちのヴァリス王。英雄戦争における両雄の一角。

◎深き猛き石の王国の主、ドワーフの王にして猛将フレーベ。

◎大地母神の加護を享けた聖女ニース。本編でも登場するマーファ最高司祭の大ニース。

◎名も無き魔法剣士。ロードス島で最も馴染みの深い「均衡」を目論む魔女。正真の「カーラ」なのかは不明。

 

・・・じゃあ副題の「ファリスの聖女」って誰?ってなる。

名も無き魔法剣士ではない。

六英雄にファリスの聖女は含まれない。

若干18歳で祭り上げられた至高神ファリス神官戦士長フラウスがこの物語の主人公だ。

 

フラウスは「ベルセルク」を読んだ人なら、あえて先程「祭り上げられた」という言い回しをしたところでピンとくることがあるかも知れない。

聖鉄鎖騎士団長ファルネーゼと同じような扱いを教会から受けている。

 

飾り物であれ、魔神に倒されるようなことがあってはならぬ、故に魔神と相対してはならぬ。

 

フラウスはそこに疑問を挟まず、己の矜持と言わんばかりに巡検の旅の中で己のやるべきことを見出す。

不在の折に異端審問を議される、信者から神官衣を脱いで蛮族の衣を着ていたところを問われる。

最後には救いを教えながら坐して人を見る至高神をも叱責して、奇跡を起こす。

そこに至るまでがご都合主義を感じさせない。

これこそディヴィネーションというものなのだろう。

むしろ必然的に引き起こされた、のちのファリス大司祭ジェナート師が評した「至高神の先を見た姿」だったのかもしれない。

 

興味を持って読もうとしている人に先に断っておくことがある。

このコミック作品、慣れてない、馴染まないと非常に読みにくい。

コマ割りが非常に特殊で、コマの境目がほぼ無いところまである。

作者の山田章博さん曰く、「絵が気持ち悪い」という感想をいただいたことまであるらしい。

 

私は山田章博さんの絵が大好きだ。

ファリスの聖女購読後、画集まで買ってしまうくらい大好きだ。

ただロードス島の予備知識はそこまで必要が無い。

プロローグ的にこの物語の下地となる神話の一節が語られる。

吟遊詩人が謳う英雄譚を映像と共に聴き覚える程度の読み方ができる。

作風も吟遊詩人や語り部が朗々と謳うように描かれている。

私は思うんだけど、あえて画風をこの作品のために作り出したと語る山田章博さんの正にこの画風こそが、ロードス島戦記を語るのに相応しいものだと思っている。

アニメ調、美男子美少女化して描かれたソレとは全く異なる、良質で流麗なファンタジー画風だからだ。

ロードス島戦記では戦神マイリーのバトルソング(※戦闘を鼓舞するお経)が有名だけど、マイリーの神官戦士団が整列して高らかに謳うバトルソングのシーンなんか嬉しくなる。

神官戦士長が実はモデルなんじゃねぇかと思うくらい、どこぞの日村みたいだけどw

 


◆決して英雄が祭り上げられる話ではない

 

かっこいいヒーロー、ヒロインがばったばったと魔物を薙ぎ倒して大団円、とかそんな生易しいものではない。

ロードス島には様々な国が存在する。

お話でメインになるのは、聖王国ヴァリスとモス小国家群の一国に過ぎないハイランド公国。

正に魔神が無尽蔵に生み出す魔物たちとの戦争を描くもので、戦争の裏には各勢力の動き、各部族の動きがある。

最も大きな被害を被ったのは、臣民を全滅に追いやられた石の王国のドワーフ王フレーベ。

物語の登場から配下のドワーフは一人も居らず、臣民の生死すら分からない状況から戦列に加わる。

 

ヴァリス王が自らハイランドへ赴いて、魔族が原因となる誤解を解き、諸王国が団結して未曾有の危機を脱するために協力を仰ぐ描写、その心意に心打たれるハイランド公国の忠臣モードック無畏侯など、とかくこのテの英雄譚ではありがちな「モブはモブ」という扱いでは無く、モブに至るまでこの時代を生きているように描写されている。

 

フラウスの一行が負傷の折に休息を求めたウズ村の村人達。

鏡の森、黄金樹への魔神急襲にハイランドへ救援を仰ぐ道すがら、3人の村人のうち1人が命を絶たれる。

生きて救援を実現させたファイロは、最も深き迷宮への決戦百人隊への志願をしなかったことを想い人の弔い合戦をして欲しかった少女マリエルに咎められる。

そこには命をどう使うかが語られている。

今自分ができることはこれだ。

 

魔神討伐の間にも幾多の困難が待ち受け、その時々において六英雄ではないその道に長けた者が活躍し突破する。

1コマしか登場しない商業都市ライデンの「戦士にして料理人」も、前線に行かないと歴史が綴れないと右手でペンを走らせ左手の斧で敵を屠るおっさんもだ。

 

最終決戦は絶望しかない。

魔族とは言語体系が違うためそもそも対話が成り立たない。

だから魔族が発しているセリフは奇妙な解読不能の呪文詠唱のみで、読者も表情からしかその感情ははかれない。

諸悪の根源、魔神王を倒そうにも傷を負わせればその溢れ出る血液から新たな魔物が生み出されキリがない。

ウォートが放った禁忌の古代王国魔法「消滅」ですら、かすり傷程度しか与えられない。

 

そこから先は、ベルドが手にするロードス島随一の魔剣「魂砕き(ソウルクラッシュ)」と、フラウスの捨て身の一度きりの戦術、そして奇跡の発現。

故にのちに「聖人」として祀られるが、「ファリスの聖女」フラウスは六英雄に列せられることはなかった。

歴史の影に隠れてしまった鮮烈に生きた聖女の物語。

その威光は30年後のエピローグで、ウズ村を訪れたパーンとディードリットが目にする。

 


◆ファンタジーのお話だけど、新型コロナ禍を連想した

 

30年後のエピローグ、ディードリットがウズ村で村人から耳にする話に興味を持つ。

それは黄金樹の復活祭、聖フラウスの祝祭日として大人になったマリエルから語られる。

 

百人隊が負けたらロードスはどうなる?

という問いに名も無き魔法剣士は平然と「人の時代が終わり魔神の歴史が始まる」と答える。

 

聖王国王とハイランド竜太子がロードス諸王国を「この危急の一時だけ」まとめあげ、そこには自らの聖域を侵されたり破壊されたりした元来人間には非協力的、むしろ嫌悪すら抱いていたエルフやドワーフもが魔神打倒の目的を一つにする。

人間に対する皮肉を言ったハイエルフにフラウスが速攻平手打ち食らわして叱責する場面とかね。

 

現実にはこうは行かない。

色々なしがらみに尻込みし、ファンタジーを望んでしまうほど滑稽だ。

当初、ハイランド竜太子マイセン公は聖王国王の申し出に対して悪態を突いていた。

「聖王国がモスの小国に膝を屈すると?モスの統一王権としてハイランドを認めると?」

これを竜太子の忠臣モードック無畏侯が、両国のためにこの身を二つに割くと身を挺して諫める。

マイセンは非を認め、手と手を取り合って魔神と対抗する決意を固める。

 

翻って現実はどうだろう。

新型コロナは、この魔神になぞらえることができる。

今正に人類にとって脅威なわけだ。

ところが日本国内ですら、他国よりも一応は規律を重んじる国であるため事なきを得ている状態だが、それでも足の引っ張り合い、他国の介入、怨嗟の声はやまない、これほど滑稽なことがあろうか。

危機に瀕してまで他人の邪魔に終始する、平和ボケ正にここに極まれり、である。

東日本大震災の折、「この国は今、危機管理のモードにある」と熱弁を振るった某政治家は、今や政権に仇為して足を引っ張り始める始末だ、情けない。

 

日本はもとより世界が団結していないと、突破できない困難であると誰もが分かっているにもかかわらず、その核となるべき世界保健機関はあの体たらくで、利権まみれであからさまにどこかの国に忖度している事実を隠そうとすらしない。

絶望するね。

対外的な配慮もあるのかもしれないけど、日本は毅然としてWHOに見切りをつけないといけない。

あれは形骸化して久しく、単なる金の亡者でしかないのだから。

人間とはかくも愚かか。

あの皮肉を言ったハイエルフに笑われるなw

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